【市立ギャラリー】井上正三　近作展

水彩に惹かれてきたのは、自分の意図を超えて予想もつかない偶然の効果に出くわすからだと絵を描くたびに思います。紙に向かうとき、写実を求める誘惑と、素描性や抽象を含めたいという冒険が頭の中で対峙し葛藤し、その結果として作品が生まれてくるのですが、その道中で紙と水と絵の具によって予想もつかない偶然が画面を演出します。水彩独特の予想外の出来事がハッキリと存在します。これが水彩に最も惹かれる最大の要因です。この演出が成功するかもしれない、失敗するかもしれない、そのギリギリのラインを進んでいく、このワクワク感が水彩にとりつかれる所以です。
思えば、今までいろいろな描き方を模索しながら沢山の絵を描いてきました。今、こうして並べてみると、これらの絵から今まで気づかなかった自分の志向や夢が見えてきた気がします。気が付けば、いつの間にかこの歳に。そろそろ先が見えだした人生の節目に皆さんのご厚意に甘え展示の機会をいただきました。
今回はこの機会に、私が講師を務める画塾ＳＨＯＷＺの塾生の作品をギャルリーＶＥＧＡで同時開催しております。合わせてご高覧いただきますようお願いいたします。
（開館10：00－18：00/最終日は16：00まで）